暗がりの文(GCS-97)
- SAPO(部門責任者)
- 2024年11月4日
- 読了時間: 8分

イチョウと妖精
イチョウ…この世界では、願いをかなえる妖精が宿るとされる樹木。扇形の葉が特徴的である。
・起歴…この世界での中心の歴史年代。この起歴一年は、この世界の始まりとされている。
ここは、ゼルダクス星の田舎の小さな村。ここでは、科学は、発展せず、
魔法が台頭している。そんな村に住んでいる少年がいた。
起歴三千五百三十二年朝・・・
僕は、このナマカハド村に住むテルート・ニマだ。テルート族に属している。僕は、この頃体が意思と関係なく動くことがある。そして、いつも村はずれの森まで歩いてしまっている。この意思とは、違う妙な行動の原因は、不明である。そんなことより、ここ数か月で、私の叔母が体調を崩し、もしかするとこのまま亡くなってしまうかもしれないというところまで来ている。とてもとても心配である。この叔母のことを考えながら、日常を過ごしていたある日の早朝。目が覚めるとまぶしいくらいに煌めくイチョウの前に倒れていた。
すると、どこからか高い声が聞こえてきたのである。
???「・・あなたは、何か望みはありますか?」
ニマ「なんだ?」
と言いながら、声のする方を見上げてみると白髪の妖精らしき者がふわふわと空中を浮遊していた。
(もしかして、このイチョウは、あの言い伝えのイチョウなのか?)
白髪の妖精「願いは、ないのですか?なんでもいいのよ」
ニマ「うーん」
と悩みながらも、
ニマ「私の叔母を元気にしてください。お願いします。」と返答した。
白髪の妖精
「わかったわ。貴方のおばあちゃんを元気にすればいいのね。もう一度確認だけど、貴方は、人の為にこの願いを使うのですね。」
ニマ「はい!」
白髪の妖精
「なんと心の優しい子なのかしら、じゃあ、
貴方の願いをかなえるわ。」と言い放ち妖精さんは、消えていった。
そして、私は、急いで家へ帰った。すると、妖精のおかげなのか、叔母の体調が回復し、とても元気になっていた。そこで、僕は、あのイチョウと妖精が本当のものなのだと実感したのであった。そして、その日からこの話をみんなに言いまわった、しかし、信じてくれたものは、現れなかった。これを読んでいる君は、信じてくれるだろうか。
星降る街空
ここは、ある島の市街、十年前は、明るく活気のある町だった。しかし、今見てみると、その面影はなく、昔は、多くあった飲食店、そして、八百屋、精肉店、花屋、などももうこの町では、シャッターを下ろしている。私が、東京の明るい町で、ぬくぬく過ごしていた時に地域では、こんなにも老朽化、衰退がはじまっていたのか。
「とりあえず、私の生家へ向かってみるとするか。」と私は、家へ向かった。
すると、そこには、ドクダミの廻った瓦屋根。ここには、私の母が住んでいるはずなのに、ただの廃屋のようだ。
「とりあえず、入ってみるとするか。」
とそこには、白骨化した遺体が横たわっていた。この骸骨は、誰かは、全く分からないが、
母がこの家には、居ない事が分かる。この状況では、この骨が私の母なのだと、思うほか
なかった。私は、四半時そこで、泣き続け私は、力尽きた。
支離滅裂
朝起きた。目が覚めた。死肉を食らった。人をごみとしてみた。心が軽くなった。人を信じようとした。心が重くなった。耳を引きちぎってみた。耳が聞こえなくなった。人の話に耳を傾けようとした。すると人は、私を嫌った。耳は、もともとないのだ。人は死にかけで、苦しんでいる。あなたは、どうする。ここで、助けても、後で、心が重くなる。今は、見逃すべきか。ここは、助けるべきだ。私は、人を助けた。そして、裏切られた。私は、目も失った。私の周りをくらい雲が漂っているかのようだ。生きる意味などないだろうか、私は、目も耳もない。しかし、口があり、足があり、手があり、頭がある。私にできることはまだある?そんなことあるか。そうだ、もうなくしてしまおう。生きる意味を。社会的存在意義を、私は、口、鼻、など諸々を切断切除し、私という存在は。消えていったのだ。
一度の失敗は尾を引く
この世界は、なんて不条理なものなのだろうか。権力者が権力を独占して、下級な民から搾取を行い、私服を肥やす。こんな世界は、もう、なくなってしまったほうがいいのではないか。なんて思ってしまう。今生きていることに対し何も利点など見出すことができていない。やはりやめた方がいいのだろうか。この世界からログアウトしたほうがいいのだろうか。と思いながらそうする為の方法について調べているのが現在である。しかし、調べたところでそれを実行する勇気などない。何故なら、それが怖いからだ。
では、何故、怖いと思っているのだろうか。少なくともここから消えてなくなった方が、苦痛が無くなるということは、確かである。だが、何故かこわいとおもってしまう。なんで、怖いなど思っているのだろうか。
夢など、疾うにどこかへ行ってしまった。夢のない生活に慣れてしまった今なって、久しぶりに無性にピアノが弾きたくなった。弾きたくなったということは、まだピアノに未練があるということなのだろう。だが、もう手持ちの金は、ポケットに入った数千円と大きな小銭が一枚。小銭を使って自販機で、一本の熱いお茶を買って飲んだ。このお茶を世界に広めたく成るほど美味しいと感じた。その後、自販機の払い出し口にある三百七十円を握りしめて次は、駅に向かった。いつもであれば、繫盛していて騒がしい場所であるのに、何故か今日は、閑散としていた。そんな時私から大粒の雨が零れ落ちだした。何故だろうか。その雨は、止むことを知らずそこから小一時間流れ続けた。そして、カラカラで冷え切った体で、閉まっている改札を背にして家へ帰ったのであった。
その次の日、今日は、綺麗な夕陽を見るべく家に近い山を登った。しかし、曇り空で人気が異様になかった。これは、私を蔑む神が卑劣な情景を見せているのだ。そうに違いないこの世界は、こんなにも暗く薄汚れて私を拒むようなものではないはずだ。そんなことを思いながら、帰路へ着いた私は、不思議な光を目にする。それは、赤く煌びやかで私の視線を覆っていた。これこそが私の求めていた世界。そして、不変の美しさである。この様なタイミングで、見つけられるとは思わなかったが、見つけられて本当に良かった。
さて、それからの私というものの生活は一変した。今まで行かなかった遊園地へ行ったり、コンビニでバイトをしてみたり、そのすべては、私に新しい思いを与えさせた。そうだ。会社を立ち上げて世の中をより良いものへ変えよう。とふと思い立ち私は、その月に新会社を立ち上げた。今ある雀の涙程の資産を資本金として。しかし、事業はうまくいかなかった。何故なら、従業員が集まらなかったからだ。何故だこの業界にしては、高待遇なはずだどうしてだ。今思えば、その理由は明白であった。何故集まらなかったのか、その真相は、私にあった。何故なら、私は、元ブラック企業の社長であり、命を絶つ社員が後を絶たない場所をしきっていたからだ。そんなヤバイ人の下で働きたい人などいなかったのだ。そして、私は、社長として二度目の倒産を迎えた今回は、私の今までの行いが招いたものだ。信頼なんて簡単に取り戻せると一度でも考えた自分が阿呆であったのだ。信頼は、金より高いものだったのだ。今悔やんでも意味が無いもうお終いなのだ。諦めた方が良いのだ。こんな世の中では、私の居場所はもうない。だから、私はここで自分の将来を辞する。
この世に未練はない。早くいなくなろう。そう思うのだ。
あの山頂で
私は、朝5時半に起きて毎日する事がある。いわゆる日課と呼ばれる事だろう。この日課は、裏山を登り、街の風景を眺めるという事である。そんないつも眺めている街の風景、それは、工業化された臨海部、そして、閑静な住宅街。自然は、この街では、ほぼ淘汰されてしまっている。だが、この景観が見慣れて、とても私に落ち着きを与えてくれる。こんな街で、住んで、のちに老いて死んでいくのさ。この待ちで、住んでよかったと、そう思える事を、私は、信じている。
数年後、とある街の病室で、
「ドクター、心拍数が急激に落ちています。」
「急げ、心臓マッサージを」
私は、幸い命を取り留めた。だが、もうあの日課はもう行えなくなった。暗い生活に唯一光る一筋の希望だったのに。何を目的に私は今後生きればよいのだ。私は孤独を味のしなくなるまで味わってきたと思っていたが、まだまだ続くようだ。これからの未来で何があろうと。私が消えるまでは。
一人の夜
今日は、待ちに待った誕生日。これまでの十数回のこの日を迎えてきた私だが、その日々は暖かなものだった。豪華な料理、欲しかったもの、家族団らん、すべてがそろっていた。でも、今回は、違うようだ。ガランとした食卓机、そこに一人用の弁当一つとペットボトル飲料一本、そして勿論プレゼントなど存在しない。そうここは、地元の実家ではないアパートである。今年から都会へ働きに出た私、一人暮らしをすると決まった時は自由な時間やスペースが増えると喜んだものだが、数か月経って今頃気づいた家族の存在。家事を行い、寝てすぐ出社。そのような生活でもう疲れてしまった。予想より早く気持ちが滅入った。もうそろそろ家に、実家に帰りたい。でも、そんな時間などない。どうすればこの気持ちはまぎれるのか?実家がどれだけ快適なものだったかを身に染みながら私はベッドへ入る。明日起きたら、学生時代に戻っていないか、あの温かいご飯をまた食べられるのではないか。そうも思い出した。もう末期症状なのかもしれない。でも、改善の見込みもない。私は、ベッド横に飾る家族写真を眺めながら、家族との思い出を振り返り、今度の給料日家族へ仕送りをしようと誓ったのであった。
収録作品(六作品)四頁―二千二十四年十月付 GCS-97 with底沼図書(仮)
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