GCSノベリスト-フラグメント01-
- SAPON(部門責任者)

- 7月9日
- 読了時間: 3分
GCSノベリスト フラグメント(GCS Novelist Fragments)について
「GCSノベリスト フラグメント」は、物語の「欠片(かけら)」を集めたアーカイブです。
ここでは、起承転結の揃った完成された物語ではなく、ふと思い浮かんだ情景、切り取られた感情の動き、あるいはまだ見ぬ長編のプロローグとなるような短いテキストを保管・公開しています。
フラグメントの主な特徴
情景と感情のスケッチ
登場人物の抱える深い葛藤や、ふとした瞬間の美しい風景などを、そのままの温度感で切り取っています。
未完の余白
あえて明確なオチや結末を描かず、読んだ方の想像力によってその先のストーリーが無限に広がるような「余韻」を大切にしています。
未来の作品の種
ここにストックされた断片は、やがてGCS-97から生み出される新たな小説や、ゲーム作品の世界観へと繋がっていく可能性を秘めています。
日常の喧騒から少し離れ、ほんの数行のテキストから立ち上がる様々な世界線と空気感を、どうぞご自由にお楽しみください。

見えない希望
この世界には、いくつもの物語がある。個々人がそれぞれにストーリーを描き続けながら、生活している。
そんな世の中で、また一人、先行きの見えない暗闇に足を踏み入れた少年がいた。どうにもならない、抜け出せないような絶望と、言い表せない焦燥感に包まれながら。
視線を落とし、ただ重い足取りを引きずるように歩いていたある日のこと。少年は、一人の少女と出会う。
彼女の名は、ミア。
折れてしまいそうなほど華奢な輪郭をしていながら、その佇まいは不思議なほど堂々としていた。吹き抜ける風の中、まっすぐに前を見据える彼女の瞳には、少年の抱える暗闇など意に介さないような、揺るぎない強い光が宿っていた。
――しかし。
そんな彼女は突如として、ちょうど一年前、彼の前から姿を消してしまったのだ。
理由も、行き先も告げないままに。
ぽっかりと空いた喪失の穴と、再び押し寄せる焦燥。
だが、少年の瞳の奥に宿った小さな火は、まだ消えてはいなかった。
『それでも、私は生きる。見えない希望をつかみに……』
かつて彼女が見せてくれた、あの堂々とした立ち姿を胸に。彼は再び、自分だけの物語を紡ぎ始める。
進む未来に立ち止まる
青空の見える岬に立っていた。
吹き抜ける潮風も、眼下で絶え間なく形を変えて砕ける波も、確かに「今」という時間を動いている。
それなのに――進んでいるような進んでいないような、周りだけが時間が進み、自分だけが立ち止まり続けているような、そんな感覚がどうしても拭えなかった。
見渡す限りの鮮やかな青はどこまでも広がっているのに、私の足元だけが透明な檻に囲まれているかのようだ。
世界が眩しく前へと進んでいくほどに、ここに取り残された静かな焦燥だけが、胸の奥で重く沈んでいく。



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